＜対象者＞　経営者、企業の商標担当者、弁理士

Ｑ：自社のビジネスが変化するなかで、商標権の確保が追い付いていないと感じています。商標上の留意すべき点につき簡単に教えてください。

Ａ：自社のビジネスが変化している場合の商標上の主な留意点につき下記します。

１．自社のビジネス状況、及び保有商標の把握と見直し

　商標はビジネスと密接に関連しています。

　特に社名やロゴなどのコーポレートブランドについては、かなり以前に商標出願をしているので、その後、例えば新規事業分野への進出などビジネスが変化した場合は、商標の見直しが必要です。

　具体的には、現在の新規ビジネスはもちろん今後の方向性や製品展開も踏まえて、商標が必要な国、指定商品、役務の見直しが必要です。

２．グループ会社やＭ＆Ａした会社のビジネスと商標権確保

　特にコーポレートブランドはグループ会社やM&Aした会社でも使用するので、それらの会社のビジネスと製品にも対応した商標権の確保も必要となります。

３．商標の使用態様の確認と商標使用のルール化

　自社のブランドが登録商標どおりに使用されているかの確認が必要です。

　登録商標どおりに使用されていないと、市場で出所混同を招くおそれが生じたり、国によっては商標権の更新ができない場合があります。

　よって、自社及びグループ内で商標の使用態様のルールを定めて運用したり、従業員への啓蒙活動が重要となります。

４．他社による自社商標使用の監視と普通名称化の防止

　他社に自社の商標を無断で使用されると市場で混乱を招くので、日頃から監視してそれを防ぐ必要があります。

　また、自社の登録商標であるにもかかわらず普通名称のごとく使用されてしまうと、商標権の行使ができなくなって営業努力によって築きあげたブランド価値が消失してしまうおそれがあるため注意が必要です。

以上

（記：谷川 正芳）