セリオレポート

<対象者> 企業経営者、事業責任者、知財部門、弁理士

 

Q:新製品Xを開発中で、その発明は日本特許出願済です。新製品Xは当初は日本で製造販売予定ですが、将来中国などのアジアで製造しグローバルに販売予定です。
 日本以外にも特許出願する必要はありますか?必要なら出願国を決める際の判断基準などを教えてください。

 

A1:外国出願の必要性

  属地主義の下、日本の特許権は外国には及ばないので、国ごとに権利化が必要です。
  理想的には新製品Xの製造販売予定国へ特許出願すべきですが、現実的には費用面などから出願国を限定する必要があります。

 

A2:出願国を決める際の判断基準

1)出願国を決める際には、3C(Company(自社)、Customer(市場、顧客)、Competitor(競合))の状況確認、将来予測が必要です。
  すなわち、
① Company:自社の新製品Xの実施予定形態、製造・販売予定国など
② Customer:市場や顧客の状況:実施形態、特許状況など
③ Competitor:競合の状況:実施形態、特許状況など
の確認が必要です。

2)さらに各国の知財状況(法整備、権利行使環境)も考慮すべきです。たとえ製造販売予定でも知財法などの法整備や権利行使が難しい国では、特許権を取得しても価値が少ない可能性があります。

 

  よって、出願国を決める際には、上記1)2)から総合的に判断することになります。
  例えば、日本、中国、ベトナムで製造し、日本製造品は日本で販売、中国、ベトナム製造品は欧米で販売予定、競合は日本、欧米、中国には特許出願しているが、ベトナムには特許出願していない場合、出願国は、日本、欧米、中国でよいかもしれません。

 

以上

(記:谷川 正芳)