セリオレポート

 ミャンマー国は、現在、知的財産権に対する法整備がなされておらず、進出企業の知的財産権が保護される状況にはありません。

 ミャンマー国への進出を検討している企業としては、まず、自社や商品のネーミングを守るべく、商標登録をすることが好ましいと言えますが、残念ながら、現在、商標法は整備されていません。

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ミャンマー登記所にて

 商標法の制定作業は、一応、進んでいます。2014年の11月にミャンマーを訪問した際の情報では、Drafting Processはほぼ終わり、法案をUAGO(Union Attorney General Office)に提出中、とのことです。WIPOとの関係で期限が延長され、法改正の期限は2021年までとなっており、2015年頃に国会に提出できるのではないか、との情報もあります。また、法案制定に際して、商標の保護対象、損害賠償額、刑罰の程度などが争点となっている、との情報を得ています。

 現在の登記法から商標法になった場合、2014年の法案では、6ヶ月の移行期間が設けられています。現在の登記法の中で「商標」の登記していた者が、新たな商標法の施行後、6ヶ月間内で商標出願をする場合、優先権を有することになります。しかしながら、行政官庁が、法施行の時にそのような対応ができるかは不明であり、優先権がある者と、そうではない者の商標出願の両方が通る可能性は否定できません。このような状況となった場合には、事実が公開されるので、ミャンマー人は公開後1ヶ月以内に、外国人であれば2ヶ月以内に異議を申し立てることができる予定である、とのことです。さらに、世界的に有名なブランドのマークは、6ヶ月の間に出願しなくても、既にミャンマーの市場にあるのであれば、それが優先される、とのこと。但し、現在のところ、有名なマークをどうやって区別するかの基準はなく、将来的に、ミャンマー政府が有名マークを公表する予定にある、とのことです。

 ミャンマーに進出を検討している企業は、まず、現行の登記法に基づく登記作業を行い、新たな商標法が施行された際に、優先権を得て商標法による保護を受ける、という方策が好ましい、と考えます。

以上
(記:古部)