商標登録のメリットは何ですか?
商標登録は下記のようなメリットがあります。 (1)指定した商品・役務(サービス)について、登録した商標を自分だけが独占して使用できます。すなわち、自分の登録商標と同じ(または似ている)商標を、他者が勝手に使用できなくなります(ただ乗りの防止)。その反面、商標登録は先願主義(早い者勝ち)なので、もし他者が先に商標登録した場合、自分の商標であっても使用が難しくなる場合があります。 (2)商標権を売却したりレンタルしたりすることで、利益を上げることができる場合があります。 (3)定期的(5年または10年ごと)に特許庁に所定料金を支払い続けることで、半永久的に商標権を保有することができます。 (4)継続的に使用することで、お客様からの信頼が高まり、ブランド価値が高まります。
特許庁への具体的な手続き内容を教えてください。
商標、指定商品・指定役務、区分、出願人情報を記載した願書を作成し、特許庁に出願します。審査で登録が認められれば登録査定が通知され、所定の料金を特許庁に支払うと登録になります。 審査の結果登録が認められなかった場合には拒絶理由通知書が届きます。拒絶理由通知書に対しては、意見書・補正書などを提出することで、再度審査にかけることができます。
どのような商標だと登録できないのでしょうか。
一般的な名称で、他の商品と区別できないような商標(識別力がない商標)は、登録を受けることができません。(商標法第3条)。また、他人の登録商標と似ている商標、品質の誤認を生ずるおそれのある商標(例:商品「ラーメン」に商標「うどん」)、有名な商標と似ている商標等も登録できません。
出願から登録まで、どの程度の期間がかかりますか?
出願から7ヶ月程度で最初の審査結果が通知されます。最初の審査結果で登録査定が通知された場合、登録料を納付して商標権が発生しますので、この場合ですと出願から登録まで最短で8ヶ月から9ヶ月程度になります。なお、指定商品・指定役務の数・分野・区分数によって、審査に要する期間が長くなります。
商標調査は必要ですか?
商標出願する場合だけでなく、商標出願しない場合にも、商標調査を行うことをお勧めします。他者の登録商標と同一又は類似する商標を貴社が使用してしまった場合、他者の商標権を侵害することになってしまいます。このような商標権の侵害を未然に防ぐためには、たとえ商標出願をしない場合であっても、事業展開の前に商標調査を行うことが重要です。 また、商標を出願しても、同一又は類似の商標が先に登録されている場合は、登録を受けることができません。出願前に先行商標を調査することで、出願にかかる無駄な費用を抑えることができます。 商標調査をすれば、他者商標の存在を知ることができ、ブランドの住み分けができます。分野別に他者商標の登録状況を把握すれば、ブランド戦略に役立ちます。
会社名(商号)の商標登録は必要ですか?
会社名(商号)は会社の名称として法務局に登録されるものです。一方、商標は「商品(役務)」の「標識」として、お客様と貴社とを結びつける役割を担っています。ですので、会社名を商標として使用するのであれば、商標登録を検討する必要があります。
以前から商標を使用していますが、商標権侵害となる可能性はありますか?
先に商標を使用していたとしても、他者が自分の商標を登録してしまった場合、商標権侵害になり得ます。したがって、安全にビジネスを継続していくための保険としても、商標登録をすることが重要です。
商標出願するにあたって何が必要ですか?
出願する商標と、指定商品・指定役務を決める必要があります。商標は、文字のみ、ロゴ(図形や記号)のみ、文字とロゴの組み合わせ等があり、他にも音やホログラムなども出願が可能です。また、出願人の情報(名称および住所)も必要です。なお、出願内容は全て、出願してから約2~3週間程度で公開されます。
指定商品・指定役務とは何ですか?
商標出願では、その商標を「何に使用するのか」を明記しなければなりません。この「何」にあたるのが指定商品・指定役務であり、全ての指定商品・指定役務は45の区分のいずれか一つに属します。指定商品・指定役務の選定を誤ると、本来希望していた権利を得ることができず、他者に対して権利行使ができなくなる場合がありますので注意が必要です。
区分とは何ですか?
区分とは、指定商品・指定役務の分類表であり、国際条約に基づいて定められております。世の中のあらゆる商品又は役務は、45の区分のどこかに割り当てられます。商標出願する際には、指定商品・指定役務を記載し、それらがどの区分に属するのかを明記します。この区分の数が多ければ、それだけ広範囲の商品又は役務を権利としてカバーすることになるため、特許事務所や特許庁に支払う費用も高くなります。
「文字商標」と「ロゴ商標」のどちらで商標登録したほうがよいですか?
文字だけで商標登録した場合、権利範囲が広くなる可能性があるとされています。ただし、似たような読み方の先行商標があると、権利化できない場合があります。ロゴ(図形や記号)だけで商標登録した場合、類似する先行商標が見つかるケースが文字だけの場合に比べると少ないので、権利化しやすい傾向があります。ただし、少し異なるロゴを他者が使用した場合に、権利行使が有効ではない場合があります。文字とロゴ(図形や記号)を組み合わせて商標登録した場合、別々に出願するよりも費用を抑えることができます。ただし、他者が「文字だけ」「ロゴだけ」を使用した場合に、権利行使が有効ではない場合があります。
商標登録はどの時点でするのがよいですか?
他者に先に商標登録されてしまうリスクを考えると、できるだけ早くすることをお勧めします。また、実際のビジネス展開をする前に、そして、ロゴ商標の場合にはデザイナーさんに依頼する前にご相談いただければと思います。先行商標と似ている商標を選択していた場合、商標を変更することは有効な対策です。早い段階で先行商標とは異なる商標を見出すことができれば、費用を抑えつつオリジナルの商標を権利化できることになります。
「®」「TM」「SM」とはそれぞれ何ですか?
®は登録商標、TMはトレードマーク、SMはサービスマークを意味します。®は商標権を持っている場合に付けることができますが、付けなくても罰則はありません。TMとSMは、商標権を持っていないけれども、商標として使用していることを積極的に明示したい場合に使用します。
外国で商標権を取得するには?
商標権の効力は、商標権を取得した国(領域)内に限られます。日本で商標権を得ていても、それは日本国内で有効なのであって、外国まで権利は及びません。したがって、外国において商標権を取得したい時は、その国又は領域で商標を出願し、登録を受ける必要があります。なお、外国で商標出願する場合、以下のような出願ルートがあります。 (1)パリ条約 商標登録したい国ごとに出願します。権利も国ごとに発生します。加盟国(約170ヵ国)に出願すれば、日本の出願日を基準に審査してもらえるなどの優遇措置があります。 (2)マドリッド協定議定書(マドリッドプロトコル) 日本の特許庁に対し出願をすることで、締約国(約100ヶ国)を複数指定することができます。出願が1回で済むのが特徴ですが、審査は各国で行われます。 (3)欧州共同体商標(CTM)出願 ヨーロッパで商標登録するのに便利な方法です。登録が認められると、EU加盟国(現在27ヵ国)全体をカバーする商標権を得ることができます。 (4)各国特許商標庁への直接出願 その国の人と同じ条件で手続する方法です。パリ条約の優遇措置は受けることはできません。
早期審査制度とはどのような制度ですか?
以下のような商標出願について「早期審査に関する事情説明書」を提出した場合、通常出願に優先してすみやかに審査が開始される制度をいいます。 1.第三者が出願商標(類似も含む)を使用しているか、使用の準備を相当程度に進めていること 2.出願商標の使用について第三者から警告を受けていること 3.出願商標について第三者から使用許諾を求められている場合 4.出願商標について、出願人が外国へも出願している場合 5.出願商標について、出願人がマドプロの基礎出願として国際登録の出願を行う場合 6.その他、権利化について緊急性があると認められる場合